新シリーズ「だしの科学」と題してネットで閲覧できる論文をもとに、だしや節に関して科学的に迫っていきたいと思います。
閲覧できる論文は宗田節に関するものは非常に少なく鰹節が主ですが、科学的な部分では鰹節と宗田節は似通っている部分も多いため、同様として扱うこととします。
参考にした論文はタイトルと著者を記しますので、興味がある方はぜひ検索して一読してみてください。
前置きが長くなりましたが今回は、「和食を支えるだしの魅力:近藤高史著」を参考に、だしと節に迫ります。
日本と海外でのだしの素材は全く異なり、日本では昆布や節・シイタケなど乾燥素材を使うのに対し、海外では生の肉や魚・野菜を使用します。
乾燥素材を用いることにより短時間で成分を引き出し、低カロリー・低脂質といった特徴を持ちながら旨味成分は海外にひけをとらないものとなります。
よく和食は引き算の料理と言われるように、丁寧な下処理で余分なものを引き、だしによって野菜や魚介類などの具材の持ち味を引き出すことを本質としています。
だしの構成要素は「うま味+香り+その他」であり、「昆布のグルタミン酸」と「節や煮干しのイノシン酸・干しシイタケのグアニル酸」を合わせることで、それぞれ単独で使うよりはるかにうま味が増す「うま味の相乗効果」が知られています。
こういった特徴から和食は世界的に見ても「おいしくて健康」な料理であり、近年の和食ブームの要因となっています。
さらにかつおだしの機能性に焦点をあててみると、肉体・精神問わず様々な疲労改善効果が示されています。
これは(ソウダガツオも含め)カツオが、通常の魚と異なりエラ呼吸できず浮袋もないためずっと泳ぎ続ける疲れ知らずの魚であることによります。
さらにはラットの行動観察から繰り返し摂取することで抗不安作用が認められ、ヒトの実験結果から胃の運動が整い満腹感を促進することも示されています。
総括すると、日本の食文化は世界に誇れる素晴らしい食文化であり、健康的で風味が良く、飽きずに毎日継続して摂取でき、またそうすることでより健康的になるということが明らかにされつつあるようです。
「だしの科学」では今後もだしや節に関しての論文を読んで勉強していきます。
ネット上では他にも様々な分野の論文が閲覧できますので、皆さんも自分の仕事に関することや趣味など興味のある分野の論文を読んでも面白いかもしれません。
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