1995年から2022年(10月まで)の土佐清水市内に水揚げされたメヂカの漁獲量(左軸:t)と1kg当たりの平均単価(右軸:円)の推移です。
土佐清水市役所の統計データを元にグラフにしました。
漁獲量を見てみると1995年から2002年までは、奇数年=豊漁、偶数年=不漁のサイクルがあったようです。そのサイクルが崩れたのが2003年で以降10,000tを超えることはなくなりました。
私は1999年からこの仕事を始めましたが、多い年では14,000t以上の漁があったのが半分ほどになった影響は大きく、2006年に削り節の製造を始めたきっかけにもなりました。
2011年からは5,000t前後の漁が続きますが、2018年を最後に過去最低の漁獲量を更新し続けており、2021年には1,247tという全盛期の10分の1以下になりました。
今年は10月までの統計ですが、それをさらに下回る可能性が高いです。
平均単価は漁が減ると上がるもので、1.5倍から2倍ほどになっており、最近ではこの時期では記憶にない200円という価格が付いています。
価格に関しては競合となるカツオの価格や、メヂカの漁獲された月にも左右されるので、以下に2021年と2022年について月ごとに詳しく分解してみます。
上記グラフは高知県漁海況情報システムを元にしたもので県全体の統計となっており、最初の土佐清水市の統計とは少しずれもあります。
月ごとの単価や漁獲方法別に分解してみると、年ごとの合計では見えなかったものが見えてきます。
大別するとメヂカの小さい7~10月は大敷の漁、大きくなる1~5月は釣りの漁で、それ以外の月は年によって変化があります。
また価格に関しては漁獲された月に左右されると書きましたが、ここ数年では漁の少なさから100円を下回ることはなく高止まりの傾向です。
以前は4~6月の脂が多くなる時期では2月の高価な時期の半値以下ということも珍しくありませんでしたが、前述のように毎年過去最低の漁獲量を更新している状況のため、今後も高止まりの傾向は続きそうです。
土佐清水市内では鰹節から宗田節に転換して、節産業を存続させてきました。
今では宗田節だけでなくサバやウルメなどその他の節の製造も増えてきていますが、宗田節が核であることは間違いありません。
鰹節から宗田節に転換が成功したときのように漁業資源も人的資源も豊富でない今、宗田節から先の転換は厳しいように思います。
今後も宗田節のだし文化を伝えていくためにはどうすれば良いのか?
答えがあるのか分からない難しい問題ですが、グラフを見れば一目瞭然の待ったなしの状況です。
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