黒潮の話~蛇行のメカニズム~

大蛇行は一日にしてならず。

1匹の蝶の羽ばたきがやがて大きな気象現象を引き起こすバタフライ効果という言葉もあるように、何年も続く大蛇行も始まりは小蛇行がきっかけと考えられています。

典型的な例が、九州南東沖で発生した小蛇行が数ヶ月かけて黒潮の流れに乗って発達しながら東進し、東海沖にて大蛇行となるというものです。

多くの小蛇行は発達せずそのまま消滅したり、また小蛇行のできるきっかけも数年前の北太平洋の風の変動と関係していたりと、いくつかの偶然が重なって大蛇行という状態になります。

そんな儚いような大蛇行ですが、ひとたび発生すると何年も続くことがあるのはそのメカニズムにあります。

以下の図は気象庁から転載した暖水と冷水における渦の向きです。

暖水渦と冷水渦の様子

コリオリ力(りょく)という聞きなれない言葉が出てきますが、難しいので説明は割愛します。

北半球において冷水渦が反時計回りなのは、低気圧である台風が反時計回りであるのと同じ理由です。

この反時計回りの冷水渦と時計回りの暖水渦が歯車のように噛み合って、以下の図のように大蛇行を形成します。

黒潮蛇行のメカニズム

またこの冷水渦は東向きの黒潮の流れと、西向きに進もうとする波の作用(ベータ効果というみたいですがこれも難しいので割愛!)がつり合い、停滞します。

じゃあいつ大蛇行が終わるの?ということになりそうですが終わるときは突然のようで、東向きの黒潮の流れが強くなると冷水渦が海底山脈である伊豆海嶺とぶつかって消滅したり、大きな冷水渦がちぎれて小さくなって大蛇行が終わったりというパターンがあるようです。

こういった大蛇行は、世界の他の海流には見られない黒潮独自ともいわれる現象のようで、地上や海底の地形が大きく関係し、結果的に生息する魚種の多様性につながっているのではと思います。

とは言ってもこれは「宗田節ブログ」、メヂカの漁模様が一番気になる!ということで次回は黒潮の流路とメヂカ漁との関係を明らかにしたいと思います。

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